渋〜

掲載日:2013.12.10

友人が生の渋柿をくれました。「面白いから干し柿作ってみて」。いや、出来上がったのを2、3個もらうだけでいいんですけど。

彼女は数年前から、干し柿を作っています。家の外ではなく、リビングの窓のところ(室内)に柿すだれ状に吊るした写真を見せてもらって、びっくり。そして彼女が作る干し柿は、ふっくらと半透明に美しく美味しいのです。

寒冷地北海道では渋柿を手に入れるのは難しく、彼女はネットで柿を買っているそうです。

北海道の人間にとって、渋柿は古風な漫画で見るだけでした。渋い、というのはどんな味かしらと思っていたものです。

指導された手順により、まず皮をむきます。意外と固く、しゃりしゃりと音が。早速、むいた皮をなめてみました。おお、これか。苦辛いような味かな、とずっと思っていましたが。味というより触覚みたいな。初めて味わった渋は、舌がごわごわもこもこしたものに包まれたような、奇妙な感覚。確かに、ぺっぺっ!勘弁して〜です。

なるほど、と満足しながら皮をむき続けていると、包丁に青黒いものが、べっとりと付き始めました。鉄の包丁と柿渋のタンニンが反応したのか?確か昔のインクはタンニンと鉄で発色していたはず。途中で、ステンレスの包丁に替えます。

そういえば、昔、木の外壁に柿渋を塗るところを見せてもらったことがあったのを思い出しました。「ごわごわもこもこ」はお口には不快ですが、木に塗ると防水性の皮膜ができて、耐久性が向上するのです。昔から木の建物や家具に塗られてきました。漁業の網に塗っていた地方もあるそうです。

渋柿を青いうちに絞った果汁を発酵させたのが「柿渋」。やたらと出来る実の優れた利用法だったのですが、家庭で柿渋を作らなくなった現在では、高価な塗料となりました。(庭に柿の木がない北国では同じことですが)

でも、木目を生かしながら、薄い色が濃く変化していく味わいを楽しめる伝統の天然塗料として人気で、今やネットで買えるそう。塗り立ての時には、少し臭いがありますが、無臭タイプもあるそうです。

◆友人に教わった干し柿の作り方

①荷造りひも、またはロープを用意。
 ひもなら、ヘタを引っ掛ける輪を等間隔に作っておく。
 ロープなら、より目を少しゆるめてヘタをひっかければよい。
②皮をむく。ヘタのまわりのひらひらは取る。ヘタは残す。
③ひもに吊るす。
④ひもごと熱湯に、10秒漬ける。
 これは、かびが生えないための消毒。
⑤吊るす。雨がかからず、日当りよく、風通しのよい場所よい。
 北海道なら室内でもいいみたい。
 確かに、暖房した室内は乾きぎみ。
⑥1週間くらいしたら、もむ。さらに1週間後にもむ。
 数日後あたりから食べられます。