妖怪「天井なめ」の教訓

掲載日:2015.07.25

窓の網戸の外側に、何か小さなものがついていました。よく見ると、虫の卵らしき粒々の固まり。平たくへばりついています。

夕べ、明かりに誘われて網戸のところで騒いでいた蛾のしわざに違いありません。もうっ。虫のおかあさん、こんな危険でエサもない場所に卵を産んじゃだめだよ。

虫の卵たちは、凶暴な人間の古歯ブラシでこすり落とされてしまいました。夏は、虫の活動が盛んで、気を抜くと家の中にも入り込むので、油断できません。

以前、キッチンの白い天井に、500円玉くらいの大きさの茶色いシミを見つけたことがありました。面倒なので、油でも飛んだかな、と言い訳をしたまま放置しておきました。そのうち拭こう。

家族には、妖怪「天井なめ」が出たので注意するように、と申し渡しました。昔読んだ水木しげるの妖怪辞典によると、家の人の留守中に現れて長い舌で天井をなめる妖怪で、なめた跡がしみになるのです。天井を全面なめ尽くされると悪いことがおきる、とかだったような。

数日後、ふと見ると茶色っぽかったシミが、黒くなっているではありませんか。ん?形も何だかおかしい、本当に妖怪かも?

やれやれと、眼鏡をかけ、イスに上がって調べます。見たとたん、ぞーっとしました。

何と茶色いシミは虫の卵のかたまりだったのです。その大半が孵化して、小さな黒い毛虫になったもよう。数ミリほどの小さいのが、無数にうごうごと。中にはお尻から細い糸をだして、ぶら下がり始めているヤツもいます。

くらくらしながら、ティッシュで丸ごと包み込んで取り除きました。手をのばしてソレに触れようとすると、私の腕のウブ毛はざわざわと逆立ちました。きゃ~

最初見つけた時に対処すれば、敵は少なくとも動かなかったのに。億劫がって放置したばかりに、怖ろしい目にあった私でした。

今回は「天井なめ」の教訓に類似的に学び、素早い対応ができました。できれば幼児大量虐殺は避けたいので、虫のおかあさんも子供が安全な場所について学習して欲しいところですが。