空き家

掲載日:2021.03.12

私の実家は、ただいま空き家です。父亡き後、母が一人暮らしをしていたのですが、数年前にサービス付き高齢者住宅に移りました。同じ市内なので、必要なものがあれば取りに行けばいい、たまに泊まるのもいいわ、と思っていたようですが。そんな時間は過ぎていくようです。地元に住んでいない子供たちが、たまに見に行くだけ。

そんな先日、地元に住むおばから電話がありました。実家の集合煙突が傾いていると、なぜかおばに電話があったそう。見に行ってくれた従兄弟によると「少し残ってるけど、もう落ちてます。

落雪側の家の外壁に押しついてる。埋まってるので、どうなってるかわからない」という。

ブロックでできた煙突の屋根上の部分が、凍った屋根雪と一緒に隣家に激突した光景が目に浮かび、ぞっとしました。

次の日、朝の電車で現地に向かいました。実家は分厚い雪に埋もれ、問題の部分を確認するのも一苦労でした。ゴム長靴を履いてきてよかった〜

煙突は傾いているものの、まだ屋根の上に立っていました。

「(雪が)落ちた」を「煙突落ちた」と、私がかん違いしたもよう。少しほっとして隣家にご挨拶しました。

ずぼずぼと雪を踏み抜きながら実家の玄関にたどりつき、郵便受にたまったチラシを片付けていると名刺が落ちました。裏に「火災保険更新の 件で伺いました」と書いてあります。電話すると、実家の火災保険は昨年すでに失効していました。

住んでいない家ですが、漏電や放火の可能性、屋根の落雪や暴風雨で飛んだものが他に被害をおよぼすこともないわけではないし。

保険は必要かも。でも、空き家の火災保険は種類が違うのかしら。

家の中は明るく静まっていました。見た目はそれほどでなくても、ドアが開かなくなり、ものが散乱した室内はずっと昔からそうだったように見えました。

建物は一部分が壊れると、そこからバランスが崩れて、大きく壊れ始めます。実家の煙突のように屋根絡みだと、雨風が入り込んで屋根の骨組みを腐らせ、雨が漏り、カビが大発生しているかもしれません。やがて屋根が沈みこむかもしれません。

住んでいる家なら、すぐに修理されますが、空き家は人に教えてもらうまで知らずにいます。放置したままでは、長く家族がお世話になった家にたいしても申し訳ない、秋までに決着をつけよう、とあらためて思いながら帰ってきました。