重層する断捨離

掲載日:2013.04.28

新社会人のみなさん、初めてのお給料をどう使いましたか?私は初めて自分で「タンス」を買いました。

学生時代からの一人暮らしで使っていた「ファンシーケース」を下宿生活を始めた弟にあげてしまい、しかし、洋服を掛けるものは必要なので、小型の洋服ダンスを自分のために買ったのです。

パイプにビニールのカバーが掛かり、ファスナーで開け閉めする組み立て式のファンシーケースは、当時の学生アパートの必須アイテムでした。それを弟に譲って、木製のタンスを買うのは、大人になった気分。初任給の半分くらいの値段で、3回の月賦で買うという高額の買い物でした。

白木調の色合いと、取っ手の金物のシンプルなところが気に入りました。結婚してからも、そこに夫婦2人の服を入れて使っていました。

その後数十年。さすがに衣服は納まりきらず、気に入っていたデザインも現在の我が家には、少々古風に過ぎる感が。数年前に家をリフォームした時に、壁一面を造り付けの収納にして「服置く場所ない問題」は解決したのですが。

もはや、必要の無いタンス。しかし、若き日の思い出がまとわりついて、捨てにくいこと。その上、昭和の家具は妙に造りがしっかりしていて。もう少し使うか‥‥。新たに「タンス置く場所ない問題」が発生してしまいました。

あれこれ検討した結果、納戸の片隅に置いて、使用頻度の少ない家族の黒い礼服を吊るすのに使うことにしました。ぴっちり閉まる扉は、ほこりが入らずよい具合。

下についている引き出しを点検していると奥から、ピンクの花柄のエプロンが!白いレースまでついています。結婚する時、母がミシンで縫ってくれたものです。当時ですらすでに気恥ずかしく、使われることなく数十年眠っていたもよう。ああ、捨てられない。礼装用小物の奥に、再びしまいこんだことでした。