森とリス

掲載日:2015.02.12

冬の森を歩く時の楽しみに「動物の足跡」があります。雪の上に残る、明らかに人間でも犬の散歩でもない動物の足跡。人間がつけた道を横切って、森の奥に消えていきます。

「これはリスの足跡だよ」と友達が教えてくれました。リスは人間で言えば、跳び箱を跳ぶときのように走るのです。まず手(前足)を地面について、次に足を着地します。なので足跡は小さなちょんちょん(手)の前方に足の大きめの跡が幅広くついたものが1セットになっています。

初めはどちらに向かう足跡なのかも、見当がつきません。でも、そう聞くと、リスが小さな手をついて、後ろ足で跳ねていく姿が想像出来て、たちまち前と後ろが分かるようになりました。

雪の上に足跡を残しているのは、冬眠しないエゾリスです。エサが少ない冬場は、苔とかキノコ、そしてあちこちに自分で貯めた木の実を食べに巣から出て来ます。

エサがいよいよ減ってくると、大胆になって露出が増えるそう。(人間にとって)運がよければ、足跡だけではなく、リス本体に遭遇する確率も増えます。

雪の中の細い道を歩いていた時、小さな猫くらいの灰色の毛玉が道の脇をぼいんぼいんと跳ねていって、驚いたことがあります。てっきりトトロ系のモノかと思いましたが、それはエゾリスでした。

(リスというと小さくて、ちょろちょろしたシマリスを想像してしまいますが、エゾリスは灰色でもさもさしていて、重量感があります。この時期、シマリスは冬眠中)

どうして冬の食料を、色々の場所に埋めておくのでしょう。そして、目印もないのに、どうやってそこを見つけられるのかな?

多分、リスクを分散するためなのでしょうか。1カ所にまとめてしまうと、他の動物に一気に盗られるかもしれないし。そこが雪崩に埋まって、掘り出せなくなることもあるかもしれないし。

「埋めた場所は、結構忘れるらしいよ」と友人。やがて春が来ると、貯めた実から芽が出るのだそうです。回りにその木がないのに、固まってクルミやドングリの芽が出ていたら、リスの食倉庫かも、と。

リス、頭悪い~と笑い合いました。でも、それは樹木にとっては、種子を運んでもらうことになるのです。じつは、おバカで勤勉なリスは、森の維持活動の働き手だったのでした。えらいぞ~