シェアハウス

掲載日:2016.02.25

最近、楽しみにしている新聞の連載小説があります。60代の男4人がワケあり物件(一家心中)の家で、共同生活を始めるという設定です。

彼らは元ボクサー。同じジムで四天王と呼ばれた彼らも今や、病気、伴侶の死、経済的な問題や前科など人生の問題とキレの悪くなった体を抱え、前に進めなくなっていた。アメリカに渡り、世界チャンピオンにはならなかったがホテル経営で成功した主人公の帰国を機に、再び一緒の建物で暮すことに。当時もジムの上階で合宿自炊生活をしていたので、共同生活は得意らしい。先日から、若き日の彼らを彷彿とさせる突張った初々しい青年も登場し、おばさん読者わくわく。(春に散る/沢木耕太郎/朝日新聞)

老人4人が一緒に住む家?と聞いて不動産屋の社長は「ああ、グループホームね」と言ってしまい、「シェアハウス」と若い女子社員にたしなめられます。

病気や障害のある人々が、介護をうけながら家庭的環境で共同生活するのがグループホーム。ほぼ事業です。自立した人が建物を共同使用するのがシェアハウスです(?微妙な気も)。知り合い同士が家賃を折半して共同生活するだけではなく、事業者が物件に対して入居者を募集することもあります。

じつは私も昔、友人たち4~5名と1戸建ての住宅で共同生活をしていたことがあります。当時、シェアハウスという言葉はありませんでしたが。

一緒に日曜のブランチをしたり、庭でバーベキューをしたり。それぞれの友人を呼んでパーティをしたり。共同生活ならではの楽しさでした。やがて、それぞれの結婚や転勤で、青春のシェアハウスは終了しました。

当時、自分の老後の住まいについて考えたことはなかったです。が、最近では老後また友人たちと一緒に住むのも悪くないかも、と思うことがあります。青春時代と同じように、長い期間は難しいかもしれませんが。理由は違うけれど。

小説に学ぶと、建物に少しのリフォームを施すのがコツのようです。そこの家では各個室に、主人公のホテルで喜ばれた壁沿いの細くて長いカウンター(読書やPCが出来る)。そして食堂には昔ジムにあったような頑丈で大きなテーブル(食事だけでなく、おしゃべりの場)を大工に作ってもらっていました。神代杉。素敵。

家は、住む人よりも長持ちするかもしれません。時々リレッシュ工事をしてあげて、楽しく暮らしてあげると喜びます。

ゆるい老友シェアハウスは、住み慣れた大好きな自分の家に、少しでも長く住むための方法としても悪くないかもしれません。