キツツキとヤナギタケ

掲載日:2017.05.25

ぼちぼち庭仕事を始めるかと、家のまわりを眺めていると、散歩中の近所の人に話しかけられました。

このあたりに長く住んでいるその人によると、ここは以前は木がぼうぼうと生えていた。ヤナギタケというキノコがよく出て、隣のご主人に誘われて採りに来たものだ。黄色いキノコで、ゆでてから食べるとうまい、と。

なんとここは、あこがれの「敷地内でキノコ(食べられる)が生える」場所だったのかしら?

いつ頃のことでしょう。今はお隣のご主人は亡くなって、新しい家族が住んでいるし、我が家が来たのは、さらにその後。

ああ、木が少なくなったね、とおじさんは見渡して去って行きました。多分、ささっとキノコがないのも確認していったはず。

ところで、家庭菜園にしている場所の脇に、1本ぽつんと古い木があります。さほど大きな木ではありません。途中から折れていて半分枯れています。そのうち伐ろうと思っていたのですが。

その不格好な木は、リビングの窓からよく見えます。ぽつんと立つその木を、キツツキが大好きなのがわかったのです。人間の目の高さくらいを、上がったり降りたり歩きながら、コンコンコンコン。可愛いと人間は喜ぶけれど、ますますぼろぼろになる木(!^^)

これは伐るわけにはいかないなあ、キツツキに倒されるまで置いておこう、ということになっていました。その木も生きている部分が芽吹き、柔らかな葉が茂り始めています。

昨日、その木の幹に妙なものを発見しました。黄色い、キノコです。もしや、古老が言っていたあれ?

慌てて図鑑とネットで調べると特徴がよく合います。ヤナギタケ、木もどんぴしゃ「ヤナギ」ですし。

ただ、形がおかしいのです。そのキノコは丸い笠に軸のついたキノコらしい形ですが、うちのは幹からはみ出てきたようなベロ型。下からのぞいてみると、軸が幹にあいた穴から飛び出し、笠もすき間から無理やり出て来たので変形したようです。

軸の下のすき間から、もうひとつ幹の中にあるキノコも見えます。何てこった。出ておいで。取りあえず上のキノコだけ、ナイフで慎重に採りました。

そのキノコが出て来た穴は、キツツキの開けた新しい穴でした。どうして、そんな奥にキノコの菌があったのでしょう。古老と隣人が遊んでいた昔から、この木のまわりで、ひっそりと生き延びていたのでしょうか?それとも、キツツキが嘴につけて運んで来てくれたのかも。

川魚のようなにおいが気になるのでゆでてから調理する、と書いたものがありました。採ったばかりのうちのを嗅いでみると、私は煮干しのような香り?と思いました。今夜、いただきます。キツツキありがとう。